上高地では毎年10月8日、穂高神社奥宮例大祭――通称、お舟祭りが明神池にて行われています。
穂高神社が御祭神とする穂高見命(ほたかみのみこと)は、日本アルプスの総鎮守、海陸交通守護の神であり、奥穂高岳の山頂にも嶺宮が祀られています。
このお祭りは山の安全をその神様に感謝するもので、3連休最終日の昨日は多くの方に見守られ、厳かに神事が執り行われました。
秋晴れの爽やかな空の青と木々の淡い黄葉が映り込む湖面に浮かぶ、龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)の二艘の舟。平安朝装束を身に纏い、雅楽の調べの中を進む様子は、現代から切り離され遠い平安にいるような錯覚を覚えます。
舟が明神池を一周し、例大祭が終われば、続いて執り行われるのが慰霊祭。こちらは日本アルプスで命を落とされた御霊が安らかであるように、また残されたご遺族の安泰と山の安全を祈るものです。
長野県内だけでも今年(1/1~9/30)の山岳遭難発生件数は249件、亡くなられた方は35名にものぼります(長野県警HPより)。「痛ましい事故がこれ以上起きませんように」との祈りは、参加された皆様に共通するのではないでしょうか。
上高地の閉山まで残すところ1ヶ月と少しとなりました。山ではもう氷が張り、雪がいつ降ってもおかしくない時期です。それに応じた装備や経験・体力を備え、無理のない計画で登山を楽しんでいただければと思います。