入賞作品が決定しました!
今回のコンテストでは、全国から素晴らしい作品を多数ご応募いただきました。誠にありがとうございました。
厳正な審査の結果、応募作品の中から選ばれた入賞作品を発表いたします。
入賞者のお名前は、敬称を略させていただきました。
【総評】
第5回野生動物写真コンテストの募集総数は1503点、応募者数は649人でした。
今回も最優秀賞をはじめ入選に至るまで極めて優秀な作品が集まり審査には最大の努力を致しました。応募作品の種類も北海道から九州、沖縄に至るまで、広範囲の国立公園をはじめあちこちの公園での取材があり、被写体もありとあらゆる哺乳類、鳥類、昆虫類、魚類にわたり、日本全国の動物の種類が集まるので、審査員冥利につきますが、回を重ねる毎に審査には緊張の度合いが高まります。
今回入選した傑作の中には、親子の愛情あり、海中のラブシーンもあり、また、不思議な珍しい昆虫?たちの生活が多く発表されましたが、初めて知ることも多く勉強になりました。フィルムからデジタルになり、カメラも急速に進歩し写しやすくなりました。被写体をじっくり観察して、画角やピント、色彩(露出)を正確に、充分注意を払って頂きたいものと思います。
どうぞ来年もまた傑作を応募されますようお待ちしております。
審査員長 田中 光常
| 最優秀賞・環境大臣賞 | 優秀賞 | 入選 | 子ども部門賞 | 佳作 |
最優秀賞・環境大臣賞(1点)
最優秀賞・環境大臣賞
- 「僕も食べたいよー」(カイツブリ)
- 撮影地:埼玉県吉見町 八丁湖公園
- 撮影者:吉田 伸一
<講評>
動物親子の睦まじい瞬間を的確にとらえるのはとても難しいことです。このカイツブリ家族はカメラと殆ど並行に位置しているので、ピントが確実に揃っており、色彩も暖かくゆったりとした緑の水面に映え、最高の表情に収まっています。母親の背にしがみついている二羽のヒナのけたたましい鳴き声が聞こえてくるようです。このような楽しそうな場面でも、母親の表情の引き締まった鋭さが、緊張の度合いを教えてくれます。
優秀賞(3点)
里地里山里海部門賞・環境省自然環境局長賞
- 「舞」(タマシギ)
- 撮影地:神奈川県平塚市
- 撮影者:鈴木 邦彦
<講評>
柔らかな緑の草原に、カップル成立後のタマシギが翼を天高くひろげて意気盛んです。
力強い翼の色彩と半身の全てにピントが合い、大きな眼光と尖った嘴とが喜びの表情を現しています。煩わしいものが一つもなく素晴らしい画面をつくりだしています。
子ども部門賞・田中光常賞
- 「ウマイ!」(ケナガネズミ)
- 撮影地:沖縄県国頭村
- 撮影者:冨井 樹(10歳)
<講評>
このネズミはただのネズミとは異なり、奄美群島に生息する大変珍しいものです。30年位前に私もやっと写した経験があります。
この作者のお子さんが、夜中、大人の手を借りたとはいえ立派なものです。ピントもよく、木の上で果実を食べている表情を枝葉を上手に避けている等見上げたものです。
自然公園財団理事長賞
- 「ミステリーサークル」(フグの一種)
- 撮影地:奄美群島国定公園
- 撮影者:伊藤 公昭
<講評>
広々とした海底の砂浜に、4~5メートルもありそうな大風呂敷を広げたような神秘的な円形の中に小さなフグが一匹鎮座しています。サークルの周りの切れ切れの突端の黒い模様は何なのでしょう。誠に不思議な光景です。以前私もテレビ放送で初めて知りましたが、よく捉えたものと感心しました。
入選(9点)
- 「クリスタルを纏う」(ヤサガタアシナガグモ)
- 撮影地:大阪市阪南市
- 撮影者:中尾 盛幸
<講評>
斜めに激しく降り注ぐ雨脚の中、アシナガグモの赤い姿がバックのぶれた色彩から浮かび上がっています。確実のピントで写真的な構図から見て、素晴らしい作品となりました。
- 「あっ!」(ユリカモメ)
- 撮影地:神奈川県平塚市
- 撮影者:渡部 勇
<講評>
今しも捕獲したばかりのサカナを掴み損ねて慌てたのか、嘴を開けて翼を左右いっぱいに広げて逃してなるものかと頑張っているようです。ピントの良さもさることながら、開いた翼の美しさは目を見張るばかりです。捕獲後のさざ波、水滴も面白いです。
- 「祝福されて」(コブシメ)
- 撮影地:沖縄県石垣島
- 撮影者:土井 奈枝
<講評>
珊瑚礁や岩のたくさん見られる浅い海底近くの海中には色鮮やかな小型のサカナが多く棲んでいます。岩が多いため生活し易く、安心出来るのでしょう。二匹のコブシメも周りで泳ぐ赤い小魚もピントがよく、色彩も水中ならではの色合いにまとまっています。水中写真の楽しさがありありと写しだされています。
- 「Go!突進」(コハクチョウ)
- 撮影地:福島県いわき市
- 撮影者:長渡 成一
<講評>
コハクチョウの羽ばたきはダイナミックです。給餌の合図があって急いで餌場に向かって飛び立ったところではないかと思います。
水面を力強くたたきつけて飛びあがったので、鏡のように平らな湖面に翼がぶつかって力強い飛沫があがったのでしょう。このようなチャンスはなかなか見られませんが、この状況を素早く狙った功績は素晴らしいと思います。
- 「オオカマキリ(絆)」(オオカマキリ)
- 撮影地:宮城県仙台市
- 撮影者:齋藤 満
<講評>
この大家族がどうやって生まれたのか不思議です。あまりに多くの幼虫の数に、ただただ驚きました。しかも上手い具合に、上下はありますが一列にぶら下がって見事に喧嘩もしないで、垂れ下がっています。一匹の親から生まれたのか?知識不足なので、まずそこが知りたい!ピントも全員揃っており、色彩もいいというより他に言葉がありません。
- 「あふれる愛」(セイタカシギ)
- 撮影地:東京都 葛西臨海公園
- 撮影者:麻生 和夫
<講評>
赤くてスマートな脚を持つセイタカシギの愛情表現の一場面です。バックの湖面の暗さに、美しい身体の白さが際立って、優しい愛の気持ちを伝えてくれました。鋭い嘴を上手に組み合わせて極めて力強く、しかも優しく彼女に寄り添っているところを上手に押さえてお見事でした。
- 「そして、廻る命」(ヨトウムシの幼虫)コマユバチの仲間にガの幼虫が寄生されている。
- 撮影地:愛知県豊田市
- 撮影者:大熊 千晶
<講評>
真っ黒なバックに突き出た一本の枯れ枝に取り付いたカラスヨトウの幼虫にコマユバチの仲間が10数匹寄生しているようです。どのようにして幼虫の背中にかくも整然と並んだのか不思議でなりません。カメラから平面的に写されているので、ピントや色彩も的確でした。
- 「誕生(カメムシ)」(キマダラカメムシ)
- 撮影地:岡山県井原市
- 撮影者:池田 一政
<講評>
野生のデザインとでも言えるようなカメムシの甲羅の模様が面白いと思いました。10数匹まとまると宝石?の塊のよう。生まれたばかりの卵をみんなで囲んで、守っているのでしょうか。バックの緑も嫌みが無くて、上から平面的に撮影されているので、ピントもよく、卵の色彩も美しく再現されています。
- 「渓谷の絆・カワガラスの給餌」(カワガラス)
- 撮影地:神奈川県伊勢原市
- 撮影者:田中 信義
<講評>
巣立ち直後なのに親よりも大きなヒナが、大口を開けて餌をねだっている姿ですが、美味しそうな餌と一緒に親の頭まで一呑みにしてしまいそうな勢いです。二羽のピントもよく、翼の隅々まで毛並みの調子もよくでています。
子ども部門賞(4点)
- 「きれいでしょ」(セミ)
- 撮影地:秩父多摩甲斐国立公園
- 中島 葉月(9歳)
- 「ミヤマクワガタ発見!!」(ミヤマクワガタ)
- 撮影地:静岡県富士宮市
- 浅野 理冴(13歳)
- 「食べちゃうの?」(イソヒヨドリ、ホオグロヤモリ)
- 撮影地:沖縄本島
- 松下 佳祐(11歳)
- 「クリオオアブラムシ生命のリレー」(クリオオアブラムシ)
- 撮影地:秋田県仙北郡西木村
- 齋藤 海玖(9歳)
佳作(20点)
- うたたね (アオガエルの仲間)
- 松崎 弘
- 露を編む (コガネグモダマシ)>
- 上坂 正吾
- 大相撲十勝場所 (シマリス)
- 畠山 昌孝
- まなこ (ニホンザル)
- 堀 英彦
- お母さんと一緒(オシドリ)
- 東海林 勇
- 獲物をGET!(イタチ、トカゲ)
- 松谷 雅行
- 子育て (クマゲラ)
- 吉田 義則
- 挑戦(ミヤマクワガタ、キイロスズメバチ)
- 田澤 和夫
- ジャンプ!(カマイルカ)
- 小野 敦史
- ひとめぼれ (ブダイ)
- 井上 葉月
- 静寂の中 (ギンヤンマ)
- 横畠 正彦
- 里山(オオカマキリ)
- 星川 靖捷
- クルミ泥棒(ニホンリス)
- 大野 雅之
- 睨み合う(オジロワシ、キタキツネ)
- 蝦名 昇
- アゲハの幼虫(シシウドで育つ)(キアゲハ)
- 別府 英子
- アザミの花に誘われて(オオスカシバ)
- 今泉 信一
- ひょっこり(クロイワトカゲモドキ)
- 賀数 大吾
- 菊の葉の藪蚊(ヒトスジシマカ)
- 野村 昌弘
- 「二人の世界」(エゾフクロウ)
- 安孫子 勝
- 飛翔(アトリ)
- 安藤 ひろみ
※写真の無断転載を禁じます
「野生動物写真コンテスト~自然界に生きる野生動物たち~」は、次の皆様のご協力をいただいて開催しております。(敬称略・50音順)
- 朝日新聞社
- 環境省
- キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- 公益信託自然保護ボランティアファンド
- 全日本写真連盟
- WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)
- 動物チャンネル/アニマルプラネット
- 富士フイルム株式会社