活動報告 2023/09/24

インターンシップでの学び

 皆さん、こんにちは。今回のブログの更新は、インターンシップ研修生の池内、江縁、清水が担当させていただきます。私たちは、自然公園財団上高地支部にて、6日間の研修を受けさせていただきました。その内容を日ごとに、各担当者がまとめていきたいと思います。

 1日目を担当する池内です。この日はオリエンテーションにて当財団の概要と業務内容、上高地の成り立ちと特徴などについて教えていただいた後に、インフォメーションセンターでの業務を経験しました。 
 インフォメーションセンターでは、受付対応やトイレのチップ回収、清掃等を経験しましたが、受付におらずとも財団の制服を着用しているだけでかなり利用者の方々に話しかけていただき、当財団がとても頼りにされていることが伺えました。当センターでは落とし物対応やシャワー室の利用管理、目的地までの距離感や状況の確認等、その他さまざまな業務を行っているため、皆さんもお困りの際は是非インフォメーションセンターまでお越しください。
 また、上高地のトイレの幾つかはチップ制を導入しています。集まったチップはトイレの維持管理だけでなく、上高地の自然環境の保全の為にも用いられている為、上高地にいらっしゃる方はぜひご協力をお願いいたします。

2日目も池内が担当します。この日はガイドウォークへ同行し、ビジターセンターの業務の研修を受けました。
 ガイドウォークではパークボランティアの方に上高地を案内していただきました。上高地の自然環境だけでなく歴史的な側面にも精通しており、とても勉強になりました。しかしそれ以上に、笑顔で暖かい対応をしていただいた為、心から同行出来てよかったと感じました。皆さんも上高地に訪れる際はぜひ、ガイドウォークに予約をして参加してみてください。


(ネイチャーガイド)

 ビジターセンターではカウンター業務やクマレクチャーの見学を行いました。クマレクチャーは毎日開催されており、ツキノワグマの生態や我々がどう関わって行くべきかについて学べます。クマレクチャーだけでなくガイドウォークでもクマなどの野生動物に関する注意喚起が為されており、クマに相対したときや、そうでないときにも細心の注意が必要であることが分かりました。ぜひ、ビジターセンターに訪れた際はクマレクチヤーを受けてみてください。また、館内では動植物の図鑑や上高地に関する情報を書籍やPCなどで閲覧できる為、調べ物がある時にもいらしてください。


(ビジターセンターでの投票結果の集計風景。お好きな季節の花に投票していただいています。)

 3日目は清水が担当します。この日は、公園班の業務に帯同しました。公園班の業務は多岐にわたるそうですが、私たちはトイレの清掃・点検、林道の巡視と補修作業を行わせていただきました。上高地の公衆トイレ清掃は、各作業が細かく分かれており、うまくシステム化されていました。上高地は国立公園であり、豊富な自然を有するため、トイレ用洗剤が使えません。そのため、水を使って丁寧に拭き取る作業を重視して、清潔さを保っています。仕上げに、好気性の微生物を培養した水をまくことで、自然に影響を与えずに、臭いを抑えるという工夫も行っています。


(トイレの清掃風景)

 林道の巡視作業では、公園を利用する方々が、安全かつ快適に通行できるよう、崩れた道や水たまりがないかを確認します。今回は、古くなった橋があったため、その補修作業を体験しました。


(橋の補修作業)

 4日目は江縁が担当します。この日は野生動物対策を行いました。
ここでは特に印象に残った、サルの対策についてご紹介します。


(サル追いの練習)

 上高地では人馴れを防ぐため、エアガンを用いてサルを園路から遠ざける「サル追い」を行っています。
 上高地のサルは一番寒い地域に生息するニホンザルです。農作物を食べる里山のサルとは違い、人の食べ物に依存することなく生活しています。また、魚を捕獲して食べる珍しいサルです。このような上高地独自の生活を彼らは何万年もかけて築き上げてきました。人の食べ物に依存するようになると彼らの「野生で生きる力」は失われてしまいます。そのため、上高地では餌やりの禁止やゴミの管理、サル追い等の対策を行っています。
 上高地でサルを見つけた際は、目を合わせずに適切な距離を保ちながら、野生動物と人間との適切な距離について思いを巡らせていただけたらと思います。

 5日目は、再び清水が担当します。この日は、岳沢方面への清掃登山を行いました。8時半に事務所を出発し、岳沢小屋を経由して、重太郎新道のはしご場まで清掃を行い、下山した後はゴミの分別作業を行いました。


(厳しい岩場も登りました)

 北アルプスは他の山域と比較して利用者が多いながらも、登山道上にゴミが少なく、利用者の意識の高さと定期的に清掃をしてくれる人たちの重要性を実感しました。一方で、テント場近くの登山道から少しそれた茂みの中に、故意に捨てられたような桃のパックや空のペットボトルがあり、残念な気持ちにもなりました。ただ、清掃登山を行っていると多くの登山者から、「ありがとう」、「お疲れ様です」といった声掛けをしてもらい、それが励みになりました。


(清掃登山の風景)

 また、岳沢小屋では山小屋のし尿処理について学びました。山小屋では利用者のし尿をタンクにためた後、ヘリコプターで上高地の浄化センターまで空輸し、その後、処理場へ運搬し処理を行うそうです。上高地は国立公園としては、珍しく下水を処理できる浄化センターを持っているため、効率的なし尿処理が出来るそうです。

【最後に】
 私たちは、野生動物対策や自然公園の管理、登山道やトイレのコスト問題など、人によって異なる興味や目的をもって、今回のインターンシップ研修に参加しました。研修に参加する中で、興味を持ったことを学ぶだけでなく、今まで関心を持っていなかった問題を学ぶことが出来ました。こうして学んだ経験を、これからの勉強や研究、社会人になったときに活かせるようにしていきたいです。
 また、上高地に多くの観光客や登山客が訪れる中、景観や設備を維持できるのは自然公園財団の方やボランティアの方々、一人一人の利用者の方々の努力によるものだと、今回の研修を受けて実感しました。上高地は、穂高連峰を始めとする山々に囲まれ、梓川が中心に流れており、植生も豊かなうえ、野生動物も多く生息している美しく稀少な土地です。このブログを通じて、上高地の自然やそれを維持するための努力を皆様に知ってもらえれば幸いです。


(登山道から見る上高地の風景)

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