みなさん、こんにちは!
雨の多い夏となっておりますが、
8/21、22の2日間は綺麗に晴れ、知床連山の縦走に行ってきました。
前回は体力不足と股関節の痛みから、途中のサシルイ岳までで断念…
今回こそ縦走を達成するべく、岩尾別登山口をスタート!
前回の羅臼岳登山は6月。雪渓は解け、景色は一変。来るたびに違う顔を見せてくれる、自然の粋な計らいは、人々を何度も惹きつけるのだろう。
羅臼平からは、いよいよ縦走路。
羅臼平まではひっきりなしに会っていた登山客も、一歩縦走路に入るとピタリと会わなくなり、自然を独り占めする時間がやってくる。
上り下りが激しい。
「登り切った」と思っても、目の前には上り道がまだまだ続いている。
ハイマツの枝が腕、額を容赦なく傷つける。
「ここらでよか」
西郷どんの言葉を何度も吐きながら何とか足を動かす。
前回の到達点であるサシルイ岳を過ぎ、未踏の地へ踏み込む。
岩場を慎重に下り、心地よい風が吹き抜ける草原を歩く。
オッカバケ岳を下ると、二ツ池が顔を現す。
いつしかハイマツは無くなり、稜線を歩いていた。
どのくらい歩いただろうか。
気が付くと目の前の景色は羅臼岳周辺とは異なり、茶色く、残雪にも見える岩石が広がっていた。
足を滑らせれば事故に繋がる狭い道を慎重に進む。
アラスカのマウンテンゴートは偉大だと感じる。
ここを超えれば、本日のゴールであるテント場に着く。
集中力を振り絞り、この難所を渡り切った。
広々としたテント場は僕らで貸し切りだった。
夏でも残る雪渓でビールを冷やす。
雪渓がビールを冷やしてくれる間、学生時代から共に旅してきた相棒のテントを設営する。
ヒグマの生息地なので、テント、調理場、食料の保管場は十分な距離を取る。
今晩はトマトパスタ。
ソーセージとブロッコリーをボイルし、パスタに絡める。
さぁ、食事の時間だ。
ビールをグイっと。
知床連山が夕日で赤く染まる中でのディナー。
どんな高価なディナーよりも贅沢なディナーだろう。
夜。
眠い目をこすり見上げた空には満点の星が輝いていた。
「きっと向こうの星でも、誰かが夜目を覚まし、同じように夜空を見上げているのだろう。」
池澤夏樹さんの言葉だ。
この景色はそんな素敵な想像までも書き起こしてくれる。
翌朝、熱々のコーヒーと共に朝陽に挨拶をし、硫黄山登山口へ出発し、お昼に無事に縦走を終えた。
ガタガタと揺れる車の中で、私はまた一つ、違う目線で、知床連山を眺めていた。
(伊治)