先日もご紹介した通り、上高地は現在野鳥たちのベビーラッシュです。巣立ちを迎える一家も増え、いたるところで巣立った幼鳥やお世話をする親鳥の姿がみられます。
雛が巣立つタイミングは種によってそれぞれでしょうが、通常はある程度飛べるようになってからです。しかしなかには予期せぬ形で巣立ちを迎える場合も。
それがつい昨日のこと。何者かに巣を襲われでもしたのか、まだ飛べるまで成長してないサメビタキのヒナが二羽、地面にじっとしていました。
その近くでは、無防備なヒナちゃんズを守らんとしきりに警戒の声をあげ興奮状態の親鳥が。
それをよそに、一時すやぁと眠るヒナちゃん…。
本来であればまだ巣の中でぬくぬくしていたはずなので無理もないことですが、場所は車通りもあり、近づくカラスの姿もあったりで、親鳥はもちろんスタッフも気が気ではありません。
しかしへたに手を出すわけにはいかず、距離をとってただただ見守る時間が続きます。
その間、親鳥は安全な場所へと誘導しようと四苦八苦し、ヒナちゃんもそれに応えるべく羽をばたつかせながら跳ね回ったりと、こちらも四苦八苦。
その様子を気にしていたのは私たちだけではなかったようで、こんな見物者の姿も。
奥がヒナちゃんで、手前にいるのはマヒワさんです。他にもコガラさんやキセキレイさんが傍に寄ってくる場面がありました。種は違っても、ヒナちゃんは興味をそそる存在のようです。
見守ること数時間(第一発見者である休日中だった某スタッフはつきっきりでした)、日暮れで辺りは暗さが増すなかもヒナちゃんは藪の方へは行かず、写真の場所で腰を落ち着けてしまいました。
雨や夜行性の肉食動物が心配で後ろ髪をひかれましたが、あとは親鳥にまかせることに。
そして今朝。どうなったかと辺りを見回していると、笹薮へと行き来する親鳥の姿が。藪の中からはヒナちゃんの声が聞こえ、ほっと胸を撫でおろしました。
たくさんのギャラリーに囲まれ、とんだ災難に見舞われたサメビタキさん一家ですが、きっとこの苦難は後々の経験値となるはず。どうかたくましく、健やかに生きていってほしいと願うばかりです。
がんばれ野鳥たち!
春から夏にかけては、野鳥たちの子育ての季節。巣立ったばかりのヒナたちは、しばらくの間、親鳥と行動しながら飛び方やエサのとり方を身につけていきます。
そんなとき、まだ上手に飛べないヒナが、地面に降りていることがあります。つい、手を差しのべたくなりますが、親鳥が近くにいることがあります。手を出さず、その場を離れてそっと見守ってください。それが野鳥たちへの「子育て応援」につながります。
公益財団法人日本野鳥の会ホームページ「野鳥の子育て応援キャンペーン」より
~がんばれ野鳥たち!2021バックナンバーズ~
がんばれ野鳥たち!6 (2021/11/08)
がんばれ野鳥たち!5 (2021/09/09)
がんばれ野鳥たち!4 (2021/08/29)
がんばれ野鳥たち!3 (2021/07/24)
がんばれ野鳥たち!2 (2021/07/01)
がんばれ野鳥たち! (2021/06/24)