第1回 野生動物写真コンテスト 入賞作品(平成20年度)

入賞作品が決定しました!

 今回のコンテストでは、895点におよぶ素晴らしい作品のご応募をいただきました。
誠にありがとうございました。

 厳正な審査の結果、応募作品の中から選ばれた入賞作品を発表いたします。
入賞者のお名前は、敬称を略させていただきました。


【総評】
 この度のコンテストは平成20年11月より21年2月末までの、非常に短期間の募集でしたが、応募人数255人、作品数は895点に及び盛況の内に終わりました。
 北海道より九州・沖縄まで多くの自然公園及びその付近の哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、昆虫等極めて優れた作品が多く集まり、優劣つけ難く、審査には苦労させられました。
 上位入選された作者には他にも優秀な作品が数多く出品されましたが、お1人1点として選ばせていただきました。
 今回のコンテストを始めとして、長年続けることにより、日本全国の野生動物が網羅されるものと、楽しみにしております。
 来年度もどうぞ立派な作品を多数応募されますよう、お待ちしております。

審査委員長 田中 光常 

| 最優秀賞・環境大臣賞 | 優秀賞 | 入選 | 奨励賞【田中光常賞】 | 佳作 |

最優秀賞・環境大臣賞(1点)

つがいのエゾフクロウ

最優秀賞・環境大臣賞

つがいのエゾフクロウ
撮影地:北海道立自然公園・野幌森林公園
撮影者:佐藤 晃

<講評>
北海道の冬の寒さは殊に厳しいが、雪をかぶった祠の中では、愛情あふれる光景が醸し出されています。微笑ましい情景は見るものを温かい気持ちにさせてくれます。今回の応募作品の中にも、同じようなフクロウの作品が4~5点ありましたが、この作品は特に優れており、努力の賜物であったと思います。

優秀賞(3点)

キタキツネ スイレンの中を遊泳
キタキツネ スイレンの中を遊泳
撮影地:大沼国定公園
撮影者:水上 詔明

<講評>
敵に追われて飛び込んだにしては、顔が濡れていません。キツネが泳ぐとは今まであまり聞いたことがありません。獲物を見つけたのか、暑さのためか、対岸へ移動のためなのか不思議な光景です。耳を立てているけれど恐れている様子は無いようです。花咲くスイレンの中で物思いにふけっているような、不思議な姿の傑作写真です。

旅する蝶アサギマダラ

旅する蝶アサギマダラ
撮影地:蔵王国定公園
撮影者:山本 真吾

<講評>
画面いっぱいの美しい野山に新鮮な空気があふれている感じです。露出とホワイトバランスの的確さが見事に表現されています。穏やかな草原に咲き誇るフジバカマの花に飛び交わっているアサギマダラ2頭の色彩とピントの正確さでいやが上にも動きのある状況を写し出しています。この美しいアサギマダラには不思議な習性があって、昆虫好きでなくても興味がわいてくるチョウです。

春ダー(エゾアカガエル)
春ダー(エゾアカガエル)
撮影地:北海道・遠軽町
撮影者:竹岡 孝二

<講評>
カエルといえばあまりかわいいものとは思っていませんでしたが、この2匹のエゾアカガエルを見て、なんて可愛らしく、優しい顔つきなのかと反省した次第です。2匹の前にたくさん生みつけられた卵が散乱していて、元気な子孫を送り出した後の安堵した姿なのでしょう、仲睦まじい営みの姿ですが、全く嫌みが感じられず、好感がもてる作品です。

入選(6点)

アナグマ
アナグマ
撮影地:十和田八幡平国立公園
撮影者:矢萩 女久美

<講評>
ナグマは中型動物の仲間でもタヌキ・キツネ等より見つけにくく、夜行性でもあり、撮影が難しいと思います。このアナグマは、日中であり申し分ない可愛らしい姿で好感がもてます。巣穴とおぼしき岩石の力強さと頼りない緑の草々、手前の枯れ枝の盛り上がり等の色合いが、巣穴にふさわしい状況を呈しています。

オオキンカメムシの集団越冬
オオキンカメムシの集団越冬
撮影地:南房総国定公園
撮影者:横井 剛史

<講評>
丸い葉の上にどぎつい色彩のカメムシが集まっています。虫の紋様が極めて鮮烈でしかも数多く群れた迫力は強烈に人目をひきます。
 バックの丸く光ったボケが美しく、画面を優しく引き立たせています。ヘッピリムシもこの仲間なのか、悪臭も相当なもの、私にも苦い経験がありますが、サルの好物でした。

おたけび(ムツゴロウ)
おたけび(ムツゴロウ)
撮影地:佐賀県ムツゴロウ王国
撮影者:鹿島 和生

<講評>
動物の喧嘩は、口を大きく開けた方が強いと聞いています。カバがそうですし、このムツゴロウも同じだと思います。威嚇する背鰭も巨大で威圧的、見るからに強そうです。飛び上がって脅す姿はよく見かけますが、泥上の喧嘩も面白く迫力があり、左のムツゴロウの背中の緊張した模様、色彩も素晴らしい光景でした。

遡上(サケ)
遡上(サケ)
撮影地:宮城県南三陸町
撮影者:御園生 智

<講評>
流れの強い河の水中撮影で、極めて大胆に産卵中のサケに接写を挑む作者の度胸に先ず感服しました。産卵を助けるオスの真剣な表情がリアルな迫力でじかに伝わってきます。
 命がけの産卵の後は死あるのみのサケの一生を垣間見て感慨無量でした。

縄張り争い(ニホントカゲ)
縄張り争い(ニホントカゲ)
撮影地:夕張市・滝之上公園
撮影者:目黒 健二

<講評>
小動物の闘争は極めて動きが速く、一瞬の状況をキャッチするのはなかなか難しい事です。食いつ食われるの場面で捉えた顔の表情の的確な瞬間もさることながら、2匹の体の曲がり具合、尾のしなやかな伸び具合等、最適な位置で纏まり、トカゲの質感と対称に、石のゴツゴツした表面とバックの岩肌の対比がトカゲを浮き上がらせて見事です。

輪舞する モンキアゲハ
輪舞する モンキアゲハ
撮影地:大山隠岐国立公園
撮影者:松岡 嘉之

<講評>
斜めから突き出た前と後ろの花が3頭のチョウを呼び寄せた画面構成は新鮮な趣が感じられ、花につかまった最初のチョウが蜜にたどり着き、その後に続く2頭が極めて具合よく位置をしめて飛翔しています。素晴らしい瞬間をキャッチされました。

奨励賞【田中光常賞】(3点)

中学生以下を対象とした表彰です。

海のホルスタイン(シロウミウシ)
海のホルスタイン(シロウミウシ)
撮影地:吉野熊野国立公園
撮影者:嶌崎 崇(小学5年生)

<講評>
水中撮影はデジタルカメラになって大変写しやすくなりましたが、被写体を探すのに苦労する事が多く、また、写角を決めるために移動するのも、陸上と違ってなかなか思うようにいかないのが常です。接写のピント合わせも急な水流の時は困難が伴います。ピント、色彩共に的確で申し分無かったと思います。

飛び立つアオサギ
飛び立つアオサギ
撮影地:甲府市・武田神社
撮影者:甲斐 大志(小学6年生)

<講評>
小学生の部では際立って立派な作品です。飛翔中のトリを画面いっぱいに撮影するのは大変難しい事です。飛んでくるトリに前もってピントを合わせ狙っていないと、最高の瞬間をキャッチ出来ません。青空との対比が半逆光でしたが、力強い色彩で最高でした。

とべとべとべ赤とんぼ
とべとべとべ赤とんぼ
撮影地:愛知県春日井市
撮影者:加納 裕也(小学1年生)

<講評>
大きな緑の葉の上の赤トンボが日光に照らされ、バックの日陰の黒さから浮かび上がり、素晴らしい画面を構成しています。題名のように、葉の先から何時飛び出してもシャッターを押す構えが出来ている気迫が伝わってきます。全ての葉が斜めの、飛び立つ方向に向いていて飛翔するトンボを応援しているようです。

佳作(18点)

アケビを独り占め(ヤマネ)外川 英樹
親仔の飛翔(ハヤブサ)鈴木 清美
キンメモドキ(キンメモドキ)登野城 順
さあ食いな(クイナ)大野 雅之
自然界の法則(ヤマカガシ)新保 政徳
知床の主(ヒグマ)岡 誠二
雀の学校門脇 一啓
早朝の出会い(ツシマヤマネコ)川口 誠
食べられないね?!!(カタツムリ)坂本 義治
ナキウサギ(エゾナキウサギ)横浜 裕孝
縄張り争い(メジロ)石原 マサ子
ふくろうの災難(フクロウ)水谷 隆央
まなざし(カジカガエル)斎田 旅飛公
真冬の集団(エゾモモンガ)野中 聡
無関心(エゾモモンガとゴジュウカラ)柴崎 康夫
「森で遭遇」(エゾモモンガ)庄子 嘉子
やったぜ~(チュウサギ)城田 祥男
楽園(クマノミとミツボシクロスズメダイ)林 大作

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