入賞作品が決定しました!
今回のコンテストでは、1446点におよぶ素晴らしい作品のご応募をいただきました。
誠にありがとうございました。
厳正な審査の結果、応募作品の中から選ばれた入賞作品を発表いたします。
入賞者のお名前は、敬称を略させていただきました。
【総評】
平成21年度の野生動物写真コンテストの募集期間は、平成21年6月1日から平成22年1月10日まででしたが、応募総数1446点、応募者数は455人と昨年の約2倍の盛況となりました。
北海道から九州・四国までの里地里山や海辺から国立公園をはじめとする自然公園及び、その付近の豊かな自然の中に生きる野生動物たち、哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、両生類、昆虫等、昨年の応募数をはるかに上回り、作品内容も多岐にわたり、立派な作品がたくさん寄せられ審査員の一人として喜びにたえません。
上位入選された作者には、入選作品以外にも多くの傑出した作品がありましたが、お一人1点として選ばせて頂きました。
作品の数として、又レベルの向上としても、より良い作品がたくさん集まれば、より高い標準となりますので、より多くの傑作をお待ちしております。
審査委員長 田中 光常
| 最優秀賞・環境大臣賞 | 優秀賞 | 入選 | 佳作 |
最優秀賞・環境大臣賞(1点)
最優秀賞・環境大臣賞
- 格闘(カワウ、コイ)
- 撮影地:横浜市・二ツ池
- 撮影者:鈴木 邦彦
<講評>
「アーッ、ヤッター!」と思わず大声をあげそうな場面。画面を見ているだけでも同じ感情が伝わってきます。全てがカメラに平行なので、ウの姿態ともがくコイ、飛び跳ねる水滴を見事に的確なピントで捉えています。特にバックの色と白線の波模様とが画面を最高に整えています。
瞬間のシャッターチャンスの的確さが美しさと動きを見事に捉えています。
優秀賞(3点)
里地里山里海賞
- 「渓流の守り神」(イシカワガエル)
- 撮影地:奄美群島国定公園・奄美大島
- 撮影者:藤田 宏之
<講評>
泥の中の穴から光りが差しているのかと思ったらカエルでした。カエルの顔や体の模様を見ると、今まで知っているカエルとは違った美しさです。何故こんな所にいるのか不思議です。
ライトが的確に当たっているのでカエルの顔や皮膚が鮮明で岩肌の中にお腹の白さが浮き立ち、露出も適正で、良かったと思います。このカエルは日本一美しいカエルだそうです。
子ども部門賞
- 「オオタカの捕食」(オオタカ)
- 撮影地:茨城県つくば市
- 撮影者:山屋 大輝(15歳)
<講評>
猛禽のオオタカが林の中で格闘の末捕えたのでしょう。鋭い爪の下に組みしいた獲物を、今まさに巣に持ち帰るために眼光鋭く飛び立つ構えの姿は雄々しく、望遠でなければ難しい状況をよくとらえました。少年ながら優秀賞に値します。
自然公園財団理事長賞
- 「ファミリー」(カワアイサ)
- 撮影地:北海道河東郡音更町
- 撮影者:庄子 嘉子
<講評>
親鳥が1~2羽のヒナを背中に乗せたり、羽の中に入れて寒さから子を守っている情景はしばしば見ていますが、可愛い子供をこれ程までたくさん背中に乗せて運んでいる瞬間は珍しく、乗り損なった最後のヒナも可愛い姿を見せてくれました。水面に反映して倍に増えた映像も楽しく、可愛らしさを倍増させています。母親の真っ直ぐ先を見つめた顔も真剣そのものです。
入選(9点)
子ども部門賞
- 「飛びだす魚」(カクレクマノミ)
- 撮影地:宮古島・新城海岸
- 撮影者:織田 晏至(9歳)
<講評>
きれいなカクレクマノミが海底に生えるイソギンチャクの中から急に姿を見せたので題名にしたのでしょう。確かにこのサカナはイソギンチャクと共生しているので、中を自由自在に出入りしていますが、他のサカナが真似てさわると痺れてしまいます。イソギンチャクを中心に美しいサカナを配し、ピントも色彩もきれいですが、サカナの位置とか動きにもうちょっと工夫が欲しかったと思います。イソギンチャクの質感やサカナの色は申し分なく努力賞ものです。
子ども部門賞
- 「ヤマカガシの主、現われる」(ヤマカガシ)
- 撮影地:神奈川県南足柄市
- 撮影者:井上 雅弘(15歳)
<講評>
蛇行した細長いヘビを上手にまとめ、頭、胴体をシャープに仕上げています。動体の毒々しい色彩に比べ、顔の表情は優しさが見られます。ヘビは嫌いな人が多いようですが、守り神とされたり、大事に飼育している愛好者もたくさんいます。毒々しい色彩は毒を持っているとの警戒色だそうです。
- 「こんにちは!」(イタチ)
- 撮影地:愛知県春日井市・内津川
- 撮影者:野上 宏
<講評>
川の浅瀬に剽軽な顔をして、まことに愛らしい姿で立ち上がった姿です。水の中で餌を探していて何かに驚き伸び上がったのでしょうか。その怪訝そうな顔にピントは正確に合い、色も申し分なくこの状況を映し出しています。前面の枯れた草を上手にまとめ、イタチを邪魔しないようにあしらい、除去するよりかえって効果を上げています。
- 「きらめいて」(エゾリス)
- 撮影地:北海道河東郡音更町
- 撮影者:田中 ツヤ子
<講評>
柔らかな太陽が美しい雪原を画面いっぱい、優しく照らして暖かそうです。秋の名残の枯れた草の実に背伸びして、片手で引き寄せ頬ばっています。雪の明るい暖かな色合いに、リスの可愛い姿が一際目立って、画面を楽しく見せてくれています。右の1~2本の枯れ草と日陰が画面を引きたせています。
- 「ディスプレイ」(キジ)
- 撮影地:宮崎県小林市
- 撮影者:谷村 龍生
<講評>
美しい緑の草原で、オスキジが雄々しく両翼を広げて求愛なのか、威嚇なのか自分を誇示しているようです。キジの顔にピントが合っていて、色彩の鮮やかさと強力な黒の姿態と、広げられて動きのある翼のブレ加減がキジの雄々しさを倍増しています。
- 「ペア」(ミジンベニハゼ)
- 撮影地:富士箱根伊豆国立公園・大瀬崎
- 撮影者:加地 早苗
<講評>
大きな貝殻を愛の巣にしたミジンベニハゼの夫婦はとても幸せそうです。画面いっぱいに写角を決め、手前の入り口の砂模様と夫婦の顔にピントを合わせ、清潔な巣の中に対して、入り口の模様を汚れた砂で覆い隠しています。砂のピントの鮮明さに比べ、夫婦の部屋の中の暖かそうなことが窺えます。巣の入り口が少々斜めなのもしゃれてみえます。
- 「憩う」(キジ)
- 撮影地:岩手県花巻市
- 撮影者:小原 順次
<講評>
雪の積もった小枝にメスのキジが1羽、疲れたのか翼を休めています。安心しているのか、片足で小枝に掴まり、もう片方の足と羽は後方に伸ばした瞬間を、落ち着いて写しています。全てにピントが合ったシャッター速度で写したその甲斐あって、顔つきは勿論、肩から伸ばし広げた翼の細かな模様の隅々までが鮮明にとらえられています。画面を取りまく雪の積もった小枝とバックに散らばる赤い実がキジを囲んで美しく整っています。欲を言えば、頭の前の空間がせめて後ろの広さ位あればよかったと思います。
- 「コバンザメを連れて」(アオウミガメ、コバンザメ)
- 撮影地:沖縄海岸国定公園・座間味島
- 撮影者:林 大作
<講評>
水中写真は海流の流れや水の透明度によって、澄んだ水の色や被写体の鮮明さが妨げられがちです。全てが克明に映ったので、カメ全体の模様が損なわれず、手前の腕からコバンザメに至るまではっきり写り、広々としたバックの砂地まで海底の模様が映し出されています。
- 「雨にぬれて」(ハラビロカマキリ幼虫)
- 撮影地:島根県斐川町
- 撮影者:鶴島 里子
<講評>
美しい色彩の花びらに雨の滴が光り、白い花の中心には毅然とした姿のカマキリが、尾を上げ足を直立させた雄々しい姿で、明るい日差しの中に構えています。構図もさることながら、中心のカマキリをはじめ、濡れた花びらと雨の滴、全てにピントが合って、小さいながら動じない昆虫の姿に圧倒されます。美しい構図ですが、いわゆる派手やかではない美しさが全てを引き立てています。
佳作(19点)
- 狩(チョウゲンボウ)
- 梅津 潤
- 夜の訪問者(エゾクロテン)
- 大石 由紀子
- ランデブー(ヒメキシタヒトリ)
- 横井 剛史
- しぶき(ニホンジカ)
- 堀 紘治
- 狩り(ツシマヤマネコ)
- 川口 誠
- ファミリー(セッカ)
- 高橋 洋<
- 散歩道(ニホンイタチ)
- 大野 雅之
- 2人の世界(キタキツネ)
- 飯田 直男
- 私がママよ?(コムクドリ・アカゲラ)
- 隅田 重明
- 白い妖精(エゾオコジョ)
- 水上 光広
- 深緑の森にて(シマフクロウ)
- 小高 英之
- いたいよー!!(アザラシ・オオセグロカモメ)
- 甲斐 幸士
- 急げ!急げ!(ウミスズメ)
- 鈴木 清美
- 紅鱗(ゴイサギ)
- 三路 修作
- 合同結婚式(マメコガネ)
- 阿部 布枝
- ウオッチ(モノサシトンボ)
- 元谷 怜
- ちょっと一休み(ニホンカモシカ)
- 水野 敬雄
- 鮎の溯上(アユ)
- 別府 英子
- 春がきた~(アマガエル)
- 野沢 奨
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野生動物写真コンテスト「自然界に生きる野生動物たち」は、次の皆様のご協力をいただいて開催しております。(敬称略・50音順)
- 朝日新聞社
- 環境省
- キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- 公益信託自然保護ボランティアファンド
- こどもエコクラブ全国事務局(財団法人日本環境協会)
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- WWFジャパン(財団法人世界自然保護基金ジャパン)
- 富士フイルム株式会社